トゥルー・ロマンスとトゥルーグリットの見分け方

スコット兄弟の方が トゥルー・ロマンス
コーエン兄弟の方が トゥルーグリット


『トゥルーグリット』観てきました。今更ながらのコーエンデビューです。


以下、ネタバレです。


まず、ストーリーは父の仇討の話ですが、そこには少女の成長が描かれていました。
1969年の『勇気ある追跡』のリメイク的作品のようですが、そっちは観ていません。


ヘイリー・スタインフェルド演じるマティ・ロス(14歳)は大人と子供の間くらいの年頃です。この映画は全編通して、少女を背中から捉えるカットが多用されています。


お金がらみでオッサンと交渉するシーンでも、切返しでそれぞれの正面から取るカットの間に、少女の背中越しに相手を見るカットが挟まれます。保安官について行くときも後ろから歩く少女のさらに後ろからのカットが挿入されていきます。

お下げ髪の背中には、まだ幼さが残っているように感じました。


少女と旅を共にする二人のオッサンは見た目こそオッサンですが、急にスネたり、キレたりと、少年の部分もかなり併せ持っています。


そこから紆余曲折を経て仇討に成功します。


途中、突然背後に男が現れるシーンと、ネッドをマッドデイモンが遠方から射撃して、ネッドがパタリと倒れるシーンはちょっとダサいなぁなんて思ってしまいました。マッドデイモンの尾行を待ち受ける、雪の中のシーンとかは、シュールな感じで割と好きでした…


少女自身の手でカタキを打つことになるのですが、その後、少女は穴に転げ落ちます。


そこからのシーンに少女の成長が示されていました。


まず、「穴」におち、「蛇」に噛まれ、「男の腕の中」で意識を失っていきます。次のシーンは、25年後、立派な女性になったマティロスです。

このシークエンスは女性の成長の儀式と捉えられるでしょう。


マティロスは保安官に会いに行きますが、そこに保安官はもういませんでした。しかし、蛇に噛まれ片腕を失ったマティロスは、片目を失っていた保安官を彷彿させます。


保安官の墓石を訪れた後のシーン、そこには、大人になったマティロスの背中があります。